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怖い話 ———昔猩々、今SHERLOCK

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こういうものが出てくる季節となりました。

実際真夏に飾るものってあまり無いんですね。
例年、七夕が過ぎると貝殻や浮き球を使った海仕様か器にガラス玉や睡蓮の葉を浮かべる水盤仕様あたりを交互に飾っていたんですが、何か飽きてしまって。
今年はこれ、以前に紹介した「めでたや」の"おばけ~"。

火の玉くんの横目に一目ぼれしまして値段も見ずにレジへ。幸いお手頃価格でよかったあ。

記憶に残る最初の怖い話は———小さいころ見た映画。
たぶん夏休みの東映動画と二本立てで何の心構えもなく見てしまったもの。
記憶の中では白黒で、ストーリーも何も覚えていません。
時代劇。豪華な着物を着て髪を高く結って簪がちらちら揺れる典型的お姫様が(あんみつ姫スタイルを想像して)白い巨大狒々にさらわれるお話。
毛むくじゃらの白い怪物(今にして思えば猩々だね)が深夜お屋敷の中庭に現れてそれを取り囲む捕り手、縄を投げたり刺又で取り押さえようとするのだけれど白猩々の怪力の前には無力、次々に跳ね飛ばされて、哀れ姫君は猩々に掻っ攫われて屋根の上に…。
詳細は違っているかもしれないけれど、とにかく猩々の顔の恐ろしかったこと、この世ならぬ怪物の姿が恐ろしく画面を見ていられなかった。
私のあまりの怖がりように一緒に行った母が「こわかったら外へ出ようか?」と言ったのをよく覚えています。
映像で見た恐ろしい姿はその後ずっとトラウマチックに何度も暗闇に現れてきました。

文字で読んで恐ろしかったのは創刊間もない週刊マーガレットに載っていた「本当にあった怖い話」的な読み物。
今にして思えばポーの「黒猫」あたりがネタなのでしょうが、外国の(ここがミソ、いかにもありそうという先入観を与えるのです)古い建物で、そこに住むことになった少女が(ここで自分と同年代で感情移入を誘う)月光に照らされた壁に見知らぬ少女の姿が浮かぶのを目撃するといったお話。殺されて壁に塗り込められていたといいます。
ご丁寧にも直視しても見えず鏡にだけ映ると。
月光、鏡、直には見えない、死んでいる少女———こ、これは怖いっ。
おかげでしばらくは白壁を見られなかったし、とにかく明かりをつけて回ってました。

怖さには視覚的なものと想像が関与するものがあるようです。精神活動が単純な年少の時には特に視覚的に怖いものが印象に強く残りやすい。
大人の感覚で陳腐なありふれたお化け屋敷風の映像でも子供心には大きなダメージを与えるかも。
となるとそういうものを子供に見せないように周囲の大人が気を配らないといけないんでしょうね。
自分が平気だからといって子供にホラー映画を一緒に見せるような鈍感大人であってはいけない———これ、自分の事です。今更ながらに深く反省。

想像力が働いて怖いものがさらに怖くなるのは年齢的にもう一段階上のことになるのでしょう。
こちらはもう自己責任というか、怖がりながらもどこか楽しんでいるところがあります。お化け屋敷に入ったり、ホラー映画を見に行ったりする一種の自虐的M的行為かと。

現実的に怖い話はいっぱいありすぎます。家にいても地震、竜巻、外へ出れば暴走車に出合い頭の無差別殺人、ものを食べれば添加物に残留農薬、薬害もあれば熱中症、年金はあてにならないし…つまり怖い話に囲まれて生活しているようなものです、こうなると怖い話が当たり前になってしまいますね。

現実のつまらない怖い話はさておいて、最近での一番怖い話は"SHERLOCK2"の第3話、ライヘンバッハ・フォール。

onionさんのブログコメントにもあったように、初めて見たときには一週間もあのシーンが目に焼き付いて、何度も頭をよぎった、まさにそうでした。
でも、私の場合は例のシーンのちょいと前、あのモリアーティの凄惨シーン!

脈絡なしに浮かんだ言葉が「肉を切らせて骨を断つ」、それに「帝都物語」の目方恵子が加藤との対決のために行った覚悟の行為…

偏執的と言ってしまえばそれまでだけど、好敵手、いや一生に一度巡り合うかどうかという自分に匹敵するライバルを滅ぼすために、最後の障害となるのが自分ならばその道を断つという、その判断の確かさ、そして判断に基づいて論理的に導かれる解決策を一瞬にしてためらいなく遂行する強い意志、実行力。まさにスポック的。
しかし決定的にスポックと違うところは、この冷静な判断の下には暗い鬱勃とした情熱があること。触れるものを焼き尽くすような暗く熱いパトス。

試しにモリアーティの感情を追ってみましょう。
自らが認めた生涯のライバルを完璧に打ちのめせると確信した歓喜と陶酔。しかし裏返しにすれば征服・被征服の関係は次の一手でまったく逆転する可能性があるとの認識があるので、極めて危ういがゆえにさらに甘美な勝利の陶酔です。
勝利を確信している優越感ゆえに敗者が消えゆくことを惜しみ、好敵手が消えた後の世界は退屈極まると嘆く。
互いに他の存在が自分を輝かせることを知っている。だから二者は一体。表と裏。まさに愛の告白!

しかし両立はあり得ない。ゆえにシャーロックを滅ぼす計画の唯一のほころび、脆弱点が自分だと悟った時、迷わず自分の消滅を図った。ここまで自分を追い込んだ相手に心からの謝辞を残して。ふう。
あの"Thank you"には戦慄を覚えましたね。ここまで熱く自らの熱望に従える無垢さをもったvillain(悪党)の造形に拍手。

はい、はい、ストーリー的には無理があるのは十分承知の上で原作も加味してああいう風に持って行った脚本のすごさに感心しているのです。あの衝撃的、予想だにしなかった展開に、その次の衝撃シーンもかすんでしまったというか(これは主人公の第一法則がありますからね)。

ちなみにあの世紀のでっち上げシーンの真相には諸説ありますね。どれも一理あり、また無理ありなのですが、脚本のモファットさんはすべておぜん立てはしてある、手掛かりはすべてあきらかにしてあるのに誰もが見つけそこなっている。いろいろ説を立てているけれどみんな見逃している。われわれは(制作側)どうやってシャーロックが生き延びたのかちゃんと合理的に考えてあるし、実際に何が起きたか、その一部はもう撮影してある、ってなことをインタビューに答えています。
引用した原文はこちら
Steven Moffat, who wrote the series with Mark Gatiss and Steve Thompson, has said all the clues pointing to how Sherlock survived were in the episode. ‘It’s all set up,’ he said. In an interview yesterday, he teased fans further by saying: ‘There is a clue everybody’s missed. So many people theorising about Sherlock’s death online – and they missed it! ‘We’ve worked out how Sherlock survives and actually shot part of what really happened. It all makes sense.’


クリフハンガーはさておき、あれはあれでまさに近頃まれな怖い話でありました。しかもそれを自分が結構肯んじているということがまた怖かったりして。

Comments

かわい〜ですね!
日本風だとお盆って感じになりますね。
わたしの持ってるお化けのオブジェは洋風なんで、どう見てもハロウィーンです。

ライヘンバッハ……実はまだ見れてないという……へたれと笑っちゃってください。
実際ここまで追い込まれるシャーロック・ホームズを見たことがなかったんで、英文(ほぼ理解できていない)だけでもうショックが大き過ぎて……原作知っているのに、復活(というか死んでない)のもわかっているのに、正視できないヘタレです。

でも考えてみると、ホントモリアーティはシャーロックがすべてだったんですねえ。
ある意味シャーロックの熱狂的なファンでストーカーみたい……なんか最近そんな悪役多いなあ(「ダークナイト」のジョーカーもそんな感じでした)。ヒーローにとっては迷惑な話だけど、ヒーローはやっぱ「悪を待つ」存在なんですねえ。
はあ……そろそろ観ますかねえw

>onionさん

飾り物になるお化けってなかなかありませんよね。ハロウィーンものはおどろおどろしていませんか。

ライヘンバッハ、ぜひぜひご覧ください。わたしもDVDで見たときほどには衝撃は少なかったw
吹き替えよりも原語の方が細かいニュアンスが感じられたように思います。
吹き替えはちょっと直裁的に聞こえました。

最初はシャーリーの方から目が離せませんでしたが、ゆっくり見るとモリアーティの凄さが怖くって。
ダークナイトのジョーカー、そういえば同じ関係ですね!

わたしも買っちゃったBRのシーズン1が来たのでマラソンと閉会式が終わったらコメンタリーつきのとパイロット版を見ようと思ってます。

こんにちは。

子供のころ、昼のワイドショーで心霊写真のコーナーを見た日の夜は怖くて怖くてなかなか眠れませんでした。

ライヘンバッハでは、ジムさんの最後の選択には度肝を抜かれましたが、いやいやあれもフェイクで実は・・・なんて疑い始めるとキリがありませんね。

もちろん元凶はジムさんなのですが、シャーロックを追い詰めていった世論も恐ろしく、やっぱりお化けや幽霊より現実の人間が一番怖いなあ、としみじみ考えた次第です。

モファさんは既に種明かしを撮影しているのですね!それでは答え合わせまで予想&妄想に励みたいと思います(^^)

>Chikoさん

小さいころに経験した怖い話はいつになっても理性では割り切れない怖さを保っているものですね。

ライヘンバッハの狂気の恐ろしさは半端じゃありませんでした。実際にあんな人がいないことを祈るだけです。

撮影済み<少なくともインタビューを信じれば、真相の部分は撮ってあるみたいですね。
どっちにしても結局は「ありえね~」って真相になる可能性大。
モファットもゲイティスもいたずら心満載ですから。
いや~、楽しみですね。

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