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処暑未だ、少し涼あり

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暑さ極まり涼しさ現る……などとは残念ながらまだまだ言えません。
わが家から田園地帯に向けて車で20分ほどのところにバイカモ(梅花藻)の自生地があります。

連日の少雨猛暑のせいか、数年前に見た時より水量が少なく、期待していた透明な水の中に揺らぐバイカモの姿が見られなかったのはちょっと残念でしたが、小さな白い花がけなげに水面から顔を出して光を受けているさまに、ひと時の涼を感じます。

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この川は湧水が水源のとても短い川ですが、清流にしか住まないトミヨが自生していて大切に保護されています。この清流は県のおいしい水の指定も受けています。
導かれた湧水が勢いよく流れ出てくるところに道から川に降りられる石段があります。対岸には水を飲んだり汲んだりするための樋もあります。

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折から部活帰りの近くの高校生が水汲み場で喉を潤し、タオルを濡らして汗を拭いていました。

はからずもこの清流が地域の生活に密着しているのを目撃して、なんだかうれしくなってしまいました。

この場で味わった水は冷たく勢いがあって、夾雑物がなくて、まろやかでなんとおいしいんだろうと感激したのですが、持っていたペットボトルに汲んでもどって家で飲んだ水は冷たさを失って何の特徴もない水になってしまっていました。
きっと魔法が解けてしまったんでしょうね。

八幡さんの怪

連日脂汗を絞り出されるような猛暑が続きます。省エネの決意もついつい鈍り、気が付くとエアコンのスイッチに手が伸びる……いやまて、あと30分我慢してから、などと免罪符的に申し訳しながら、結局文明の利器の恩恵にあずかっています。

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二日ほど前、所要で母とF市まで行きました。以前から、友人から聞いていた"ちょっと面白い喫茶店"へ寄ろうと思いつきました。
友人の言によれば、古い民家をそのまま使って、最低限の内部改装だけした喫茶店。靴を脱いで上がる。中は畳と板敷。欄間も障子も床の間もそのまま……だそうで、都会にあれば必ずやうけるだろう喫茶店。ただしロケーションが不利です。なんといっても田舎都市です。その手の田舎屋は「掃いて捨てるほど」あるから、珍しくはありません。ただし、喫茶店になっている田舎屋というのは確かに珍しいというか、初耳ですが。

さて、ここに問題が一つ。とても分かりにくいところにあるらしい。目安になる大型ショッピングモールの裏の道をひたすら道なり昔の村落を抜けて走り、目印の小さな石碑を右折すると八幡神社があって、その前――ということらしい。
当方、自慢じゃないが地理感覚のなさは人後に落ちない。(いつぞやの春江オデッセイが思い出される)
準備あれば憂いなしと地図をググって目標物をチェック。八幡神社が何よりの目印。しっかりメモして、ショッピングモールからの信号数もチェック、なんといっても一本道なのだ、これで迷うはずはないと、自信を持って出かけました。

こう書けば賢明なる皆様は、また迷ったんだなとお気づきのことと思います。まさにその通り、一本道で迷ってしまいました。
ショッピングモール出発は順調、信号を数えながら小さな集落を抜けて、くだんの直近の信号までやってきました。これであと少し、〇〇電装、△△眼鏡などが右に見えたら石碑を探して……、え、え? 八幡さんだ!
そうです、どういうわけか八幡神社の前を通ってしまいました。間違いなく八幡神社の石柱が。杉の木立の中に社殿も見えます。ええっと……あの地図では八幡神社は街道から右折したところにあったはずなのに。でも、これ間違いなく八幡さんだし。さっき目印の信号も通過したし。しかしこの信号がやや曲者、変形の十字路で直進がわかりにくいのです。直進だと思って進入した細めの道が実は右の道だった可能性も残ります。
とにかく八幡さんに行きあたってしまったのですから、この近くに目指すカフェはあるはず……なのですが、八幡神社前から伸びる道の両側には住宅や畑が続いて、それらしい建物が見当たりません。
再び八幡さんに戻りぐるりと周囲を一巡しましたが、まったく気配もなし。
狐につままれた気分で信号まで戻り、左折、右折を試してみても全く地図に思い当たるところが見つかりません。
しかしここまで来たらもう意地もあります。今更撤退して帰るのも癪です。うろついた揚句、ふりだしの八幡さんの前から喫茶店へ電話して位置を教えてもらいました。

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八幡神社からさらに直進、かなり進んで田んぼの中に××医院の看板が見えてきたらその後ろを右折……おお、ありました。やっと見つけた喫茶店。確かにふつうの民家です。立て看板がなかったら簡単に素通りしてしまいそうなところです。

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玄関で靴を脱いで入るのは聞いた通り。昔ながらの桟のあるガラス戸をあけると四ツ目の座敷を開け放して一つの部屋にしたところにテーブルとイスが。ほとんどの席はお客が座っているのですが、仕切りはないので、みんなが一部屋に思い思いに座っているという感じ。縁側と廊下の境になる障子は紙を取り去ってガラス仕立てにしてあるので外光が入って明るさは十分です。床の間には小ぶりの飾り棚が置かれ、小さな陶器などがさりげなく飾ってあります。わたしたちは板張りになった小座敷のソファに座って半分下ろしたすだれ越しにかっと夏陽が照る庭を眺めつつ、控えめにアイスコーヒーなどすすって、しばし静けさを楽しみました。

あるかなしのジャズのBGM、自席にだけ聞こえる小声で話す客たち、ひんやりした板の間の感触が足に心地よく、妙な言い方かもしれませんが、普段田舎にいながら、身の回りから消えてしまった田舎の風情をうんと楽しんできました。

自宅に戻って、いまだ釈然としないのが八幡神社との位置関係のぶれ。もう一度仔細に地図を調べなおしました。小さな集落の中に八幡神社が二つもあるはずがないし……。げに恐ろしきは思い込みです。あるはずがない八幡神社が二つあったのです。確かに道沿いで見かけた最初の八幡神社があるのは下〇〇町、カフェのあるのは中〇〇町。想像をたくましくしてみると、これって、明治になって八幡神社を勧請するときに何か地区でごたごたでもあったでしょうか。 こっちへ、いやこちらがもともとだから、なんてどちらの地区も引かず結局近接して二社を勧請することになったとか?
白昼、狐につままれたような「八幡神社の怪」でした。
え? おまえの早とちりが元凶だって?
確かに、ごもっとも。そうおっしゃられると一言も申し開きできません。はい。

付記; カフェで見つけた本

Cafes_in_kyoto ちょうどこの本に紹介されているような民芸風カフェというのかな、雰囲気。

蘇格蘭・英蘭浪漫紀行 その4

ウィンダミア湖周辺

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ハドリアヌスの長堤を後に一路西進。なだらかな"英国一の山岳地帯"を抜けて(最高峰ベン・ネヴィスでも1344m)湖水地方へ入り、ウィンダミア湖のほとり、ボウネスへ到着しました。
写真はマナーハウス(昔の領主館、貴族の別荘などを内部改装して宿泊施設として使っている)の部屋から湖を望んだもの。こじんまりとした町で宿から5分もすれば湖畔に出ます。メイン・ストリートには商店も多く坂を下ったところにはTescoのスーパーもあります。さっそく定番のミネラル・ウォーターとウォーカーズのポテトチップスを購入。
ウィンダミアという言葉への憧れについてはわけがあります。初めて読んだオスカー・ワイルドの短編集にあった「ウィンダミア夫人の扇」、直接関係は何もないのですが、いつかはこのウィンダミアというところへ行くんだという素朴な願いがありまして、晴れてこうして湖水地方最大の湖のほとりまでやってきたのですから満足です。

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わたしたちが泊まったマナーハウスは昔の水療院だったところです。
小学生の時読んだ子供向きにリライトされたジェイン・エアの中に"図書室(個人の邸宅の)の出窓に座って本を読む"好きな一節がありまして、その描写にあった出窓が付いていてうれしい限り。内部から見ると出窓、外部から見ると半円形に丸い塔が出張っているように見えます。しばし座って感慨に浸ってきました。


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早朝に目覚めて窓を開けると湖上にはうっすらと靄がかかり、そこかしこから鳥の声が聞こえてきます。聞きなれない鳴き声に交じって郭公と思しき声も。
不似合だなと知りつつも、思わず漏らしたこれそまさしく「静かな湖畔の森の陰から……郭公が啼く」。
遠くから早くも車の音も聞こえてきます。10分もたたないうちに周囲は明るさを増し、それにつれて鳥の声もいよいよ種類が増え、かまびすしくなっていきました。旅先でこういったささやかなゆとりの時間を持てるとほんとうに気持ちが豊かになります。

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せっかく早起きしたのだからと散歩に出ました。水療院の前の大きな坂を下ってメインストリートへ向かいます。
周囲の家はすべて地元産のスレートストーンを積み上げた塀、同じ石を壁面に重ね、屋根にも敷くといった特徴的なつくりです。無彩色ながら色調に微妙に変化があって落ち着いた風情があります。
民家は少なく、ほとんどがB&Bです。やはり観光地なのですね。

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坂道の途中で目の前にとまった胸の赤いロビン。バーネットの「秘密の花園」でかくもかわいらしく描写された英国のロビン。
実物を目にしてイギリスへ来たんだとじーんと実感です。


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町はずれにあったパブ。いかにもさりげなく花で飾っています。早朝で人影がなく思い通りに写真が撮れるのはいいことです。

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湖畔に通じる一角にあった小さな教会。これもスレートストーン葺きです。


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ウィンダミア湖クルーズに出る桟橋。昼間は人でごった返していますが、まだ6時なので静かです。午前中にここから短いクルーズに出ます。湖のほとりにはたくさんの白鳥や鴨が群れています。人なれしているのか、近づいても逃げようとしません。写真を撮ると気のせいかカメラ目線で見ているような……。

日本の観光地との一番の違いは湖畔に土産物屋や屋台のあるなしだと気が付きました。写真を取るにも気になる旗や幟もありません。雑多な色合いがなく素朴さを保っています。この姿勢は見習うべきだと感心。

イギリスの朝食はどこも大抵同じです。トースト、卵(サニーサイドorスクランブル)ベーコン(かなり塩辛い)、ソーセージ、ベークド・ビーンズ(インゲンのような豆を煮たもの)ベイクド・トマト(これはおいしい!)、これにシリアルや果物、チーズなどお好みで、という感じです。イギリスの食事には期待するなと散々耳にしていたので、こういう朝食メニューに文句もなく、毎朝結構楽しみました。