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間奏曲

P1090662


……ねむい、ねむたい……
半ば自動的に目覚ましに手が伸びて、思わずわっと声を上げそうになった。
やばい、寝過ごした! 今からやらないといけないこと、遅れた言い訳、まわりの冷笑、みじめな気持、そんなことが一度にどっと頭に押し寄せる。
次の瞬間、安堵するとともに自分のばかさ加減が恨めしくなる――今日は休みだった。

このところ毎朝起きるのがつらい。何も前の晩遅くまで好きなDVDを見たり、延々とネットめぐりをしていたのが原因じゃない。
何もかも、この季節のせいなんだ。
春は――朝がつらい。いつまでもぬくぬくと布団にもぐってこの暖かさと心地よさをむさぼっていたい。
朝が早く開けだして外が白むのに、一向に目が覚めない。心地よく眠ることで今までの寒く厳しい季節に意趣返ししているようだ。

ごたくを並べずに、もう一度まどろみたい。せっかくの休日じゃないか。
目を閉じて枕に頭を沈めるものの、一度覚めた目はなかなか眠りに戻ろうとしてくれない。
聞くともなしに外から聞こえてくる音に耳を傾ける。
日頃忙しい朝には気づかなかった鳥の声がする。庭といっても申し訳程度の広さしかないが、数本の木に野鳥が来ているのだろうか。
それともよく軒に出入りしている雀だろうか。鳥の声は一種類だけではなさそうだ。
忙しさにかまけてそんな鳥たちの存在すら忘れているんだと思う。
意識さえすれば様々な鳥の声が聞こえていたのだ。

なんとなくまた眠りの際に引き戻されてきた頭でぼんやり考える。
そういえば昨夜は雨音がしていた。風もひと時強く吹いたような気がする。ぼんやり寒冷前線が通ったのかなと思ったのを覚えている。

あっ、風で先日庭に咲いた桃の花が散ってしまったかな。唯一わがやの庭に春咲く桃の花、白と桃の二色咲き、源平桃という風流な名がついているのだが、ひそかに毎日まだ咲いていると楽しみにしていた。
いつかは散る運命だが、強い雨風に打たれて庭に散り敷いている花弁を見たら、なにやら凄然とした気分になってしまうかもしれない。

そんなことを考えながらうとうとして、再び甘美な眠りに陥ってしまったことだ。

これまた妄想の一つに加えてやってください。つまり第6弾ということで、はい。

Comments

なんかちょっとした短編集を一冊読んでる気になってきた(笑)
ご本人は「妄想」と謙遜されている、不思議な味わいのある文章、もうちょっと楽しませていただきますね。

Oさん

自分で「春物」と決めてしまったので同工異曲っぽくなりつつあります。

想像をもっと逞しくして目の覚めるような違ったお話にできるといいのですが。

読んでいただけてうれしいです。

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