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サティの恍惚、またはアンフォラ幻想

Satie_cdjpg二月ほど前からピアノを習いに行っています。

習うといってもいわゆるお稽古ごとではありません。たとえれば「大人のピアノサロン」とでもいう会に参加しています。子供のやる習い事としてのピアノに付き物の毎日の練習、発表会、コンクールというようなストレスのかかるプロセスは一切なく、ピアノを弾きたい大人が先生のお宅に集まってコーヒーとケーキを頂きながら順にピアノを弾き、演奏を聞きながらおしゃべりをして楽しむ、そういう気楽な会です。
参加者は男女交じりで40,50代の手習いもあり、子供のころ習っていた出戻りあり、さまざま。先生から弾く曲の指定もなく、各自弾きたい曲を探したり、先生に探してもらったり、クラシック名曲の簡単版あり、ポップスあり、映画音楽ありレパートリーはさながらおもちゃ箱をひっくり返したようなものです。練習ができなくてつっかえつっかえ止まりながら弾いてもOK。途中までしか弾けなくてもへいっちゃら。おしゃべりしながらもうまく弾いた人には惜しみない拍手が待ち受けます。。
わたしは出戻り組。中学半ばで「勉強との両立が……」みたいな理由を付けて止めて以来、大学在学中に音研に属して時折思い出したようにピアノにさわってたくらいです。
わが家のピアノも弾き手がいなくなってからたまさかにしか音を出さず、いつしかリビングから隣の小部屋へと追いやられ、図体の大きな厄介者扱いされたあげく、ついには物乗せ台と変わり果てた姿になっていました。
決してピアノが嫌いになったわけでは無かったけれど、結局こういう物は習慣なのです。弾くという行為が日常である限りは、大したモチベーションがなくても、暇な時に鳴らしてみようかという気になるのですが、一旦習慣の意識が途切れるとなかなか再開は難しいものです。


前置きはこれくらいにして本題に。

Amphoraいま、表題にも書いたサティの曲を弾いています。──エリック・サティ(1866-1925)、フランスの作曲家です。多くのピアノ曲を残しましたが、代表作「3つのジムノペディ」はだれもがどこかで耳にしたことがあるほどの超有名曲です。
ジムノペディという聞き慣れないタイトルは、サティの造語。古代スパルタで行われた毎年行われた祭典のひとつ、Gumonopaidiaでは裸身の若者たちが神々の像の前で踊り、合唱しました。サティはこの祭りを描いたギリシャの壷絵から着想を得てジムノペディを作曲したといわれています。

このアンフォラ(ギリシア壷)の文様は赤絵といわれ黒絵よりも新しくBC6世紀末ころから現れた意匠です。
集団で踊っている絵柄ではありませんが、おそらくサティはこういった群像の様式化された姿から想像の翼をひろげたに違いありません。

3曲にはそれぞれ「遅く悲痛に」「遅くかなしげに」「遅く荘重に」という指示があり三拍子で、独特な和声の展開で長調にも短調にも留まらず、流れるようにたゆたいながら進み進んでまた元に戻る、永劫回帰という言葉が頭をよぎる音楽です。
弾いていると時間の感覚がなくなり、緩慢なリズムに乗って終わることなく恍惚として踊りに興じている若者たちの姿が仄見えるような気分になります。
左手が単音の低音を響かせ、そのまま上向して和音を押さえます。そのわずかな間の緊張感。期待通りになって欲しという安定を求める気持ちと期待を裏切って欲しいという意外性を求める気持ちが拮抗します。
幾度も弾いていると、一番華やかな2番の旋律の動きは「コナン・ザ・グレート」で蛇王が正体をあらわす時に流れる三拍子と相通じるものがあることに気が付きました。神秘主義の色に染められて、異教の神を思わせるエキゾティシズムがあります。
3曲目はすべてのコーダ。前の2曲をはるかに遠い日から思い出そうとするかのような過去への憧憬を感じさせます。
それぞれ独立して演奏されることも可能ながら、やはり続けて演奏するのがベストだろうと思います。
ジムノペディ1番を貼っておきます。しばし耳を傾けていただけたら嬉しいです。

Comments

ああ~耳なじみのある曲ですね。
こういうのは、シンプルな構成であるだけに却って「味わい深く演奏する」のが難しいのだと思います。
書道なんかと同じで、そのときの心境がストレートに出てしまいそう。

いや、そういうこと気にせずにのびのびと演奏できるというのがいい会なのでしょうね。

わたしも大昔にピアノを少しやってましたが、全く練習しない子だったので先生も困ってたと思います(笑)

弾いていた記憶のある最後の曲は、ショパンのワルツです。
http://www.youtube.com/watch?v=rBwJYRmgKOk
当時の私にとっては難易度が高くてヒーヒー言いながら覚えた記憶が。。。

気楽に弾ける場というの、いいですね。

>Oさん
一時はやりましたね、よくBGMふうにかかっていました。
このショパンのワルツ、私も弾きました。ワルツの中では華やかなほうだったから楽しんで弾いた覚えがあります。
大人のピアノサロンでも簡単なショパンのワルツをご披露しました。
うまく弾くのも大事ですが、わたしたちにとっては楽しんで弾くのが一番大事だと思います。

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