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密かな楽しみ

たとえば……の話し。
たとえば、一つの話を読み込んで、それを下敷きにしてスピンオフを書くとか。
たとえば、一つの話をとことん読んでそれを翻訳するとか。
なかなかできそうで、できない──言うは易く行うは難いものです。
全くの創作ならば、作者は自分。世界の創造主たる自分は世界の生殺与奪の権を持つ。
登場人物に話をさせて、笑わせて、泣かせることも、身も心も無いほどの恋に陥らせることも、指の一振りでできる。

ところが、二次創作、翻訳にはその自由は認められません。
あくまでも先に原作ありき、です。
作者との違和感を持ちながら言葉を紡ぎ出していく作業は、自分の言葉でありながら自分の言葉と違う……いや自分の心でないものを自分の言葉で織り上げていくのか?

でも、時としてそう捨てたものじゃないと思えるときもあるのです。
どんな時かって?
いろいろあるのですが、特にうれしいのは……たとえば、下はいま手をつけているある一節。

(原文)He had congratulated himself for overcoming his old rivalry with his friend.

(試訳) 彼は、ずっとむかしの、相棒への対抗心を自分が完全に克服したのに気づき、思わず密やかな笑いをこぼした。

試みと書いたのは少し冒険をしたからです。
まともに訳したら、「自分で自分を褒めてあげたい」みたいな手垢の付いた文になってしまうので、う~~んと考えて。
そういうときには自分がこの彼に同化するように、彼と相棒の関わり、その後の人生なんかをわかっている限り自分の感情キャパみたいなところにどんどん水を溜めるみたいに溜めていって、そして考える。このときどんな気持ちになるだろう、どんな感情に襲われるだろうかって。
大げさですが、大体こんな感じ。
追体験というか共体験というか。
そうすると、昔は若気の至りで相手に抱いていたライバル意識が、いつの間にか消えていて、相手への気持ちは良好な友情に昇華している、それに気が付いて自分で自分を祝福したくなった、そういう気分。ただし、祝福というような言葉はここには相応しくない……
そのとき、このキャラが自分の心に気がついてにっこり笑った絵が見えてきたのです。
でも、その笑みはあくまでも自分に向けたもの。相手に悟られるわけにはいきません。しかもそんな自分の姿にちょっと照れも感じているので、密かに笑みをこぼしたわけ。

わかってますよ~。翻訳の則を越えてるよね。
いくら気に入っても、主観的すぎる。残念だけど、ボツか。。。
そう思って、なおも次の文を見たとき、そう、こんな時なのですよ。
さっき言った「うれしいとき」っていうのは。

次の原文 He shook his head, smilig. (彼は笑って首を振った)

あらら、やっぱり同じ事考えていたんだ、読みは外れて無かった。ボツにしなくて済んだ。
時々ありますね、こんなこと。後続の文を読まないうちに先取り訳をしてしまうこと。
大抵想像力働かせ過ぎのときですが。
こんなとき、ほんとうに「幸福感」を抱いてしまいます。
なんだか作者とシンクロして、しかもキャラと一体になれた。
うん、これがあるから、やめられないのかもしれませんね。

実はこれを書いてから、次の文を訳したら、あらら、またちょっと違った展開にw 彼がかぶりを振って笑ったのは、いや、やっぱりどこかにこだわりが残っているな、と自分で感じたからでした。 うう、方向修正か……でもこれもまた楽しみのうちですって。

Comments

あ、普及しました?<コメント
翻訳作業はその辺の部分で忠実ありきですよね?
私なんぞがよくやっているのは、それこその言葉内容に含まれる意味プラス自分の妄想・・・ここからして、創作する側の感情がバリに入ってしまいますね。
いやでも。英文そのままでは日本語にならんでしょ?・苦笑
なんて思ってしまう事もあるので、やはりその辺は作業される方の考えなんですねぇ。
私は全然翻訳は駄目なので、それを仕事されている方はいつも凄いなぁと思ってしまうのです。

コメント復旧した?or時たま開く?or偶然?
>saraさん
開いたり開かなかったり、書き込めても読めなかったりでご迷惑をかけています。
でもいただいたコメントはsendmailでわたしにはちゃんと読めますのでありがとうございますm(_"_)m
翻訳ってミズモノですね、つくづく思います。自分の得意な場所になると腕まくりしてどうやろうかと喜ぶんですが、反対にチャンバラシーンになると同じ表現ばっかりw
saraさんの歯切れのいい文体は好きです。
もっともっと日本語の腕を磨かないといけない、これを痛切に感じる毎日です──でも、かといって難しい漢語ばっかりじゃこれまたいけないんですね、そのあたりの匙加減は……まだまだです。

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