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問題な日本語

Nihongo_sUdon_2ブックレビューをたまに書くのですが、とうとうまだ読んでない本のレビューを書こうとしています。

新聞に広告が載ったときに、この「こちらきつねうどんになりました」の図に惚れ込んでしまいました。

問答無用の痛快さ! これこれ、これですよ。

Amazonでのブックレビューを見ると、内容的にはそれほど新奇な試みはなく、今はやりの"日本語How to本"類とそう大きい違いはなさそうですが、レビューアーが口を揃えて褒めているのが挿入された4コマの挿絵。
まったく、表紙のきつねうどんだけでも読む価値がありそうです。ちなみに出版元の大修館HPにはこの「モンニチきつね」のスクリーンセ-バーもあるようです。

現代日本語の問題、みたいな本はいささか食傷気味で、(以前は見つけると買っていたのですが大野さんの「日本語練習帳」のヒットを境に雨後の筍状態で、玉石混淆、どちらかというと石の方が多くて)もう迂闊に買うまいと心に決めていたのですが、この本はどうやらきつね君の魅力で「買い」になりそうです。

小人閑居して・・・DVDを見る?

久しぶりに仕事がキャンセルで夜の時間が空きました!
なんと7:00からフリー!やったー!
そうは言っても昨日は日曜でやすみだったんですが、予期せずして休みがはいるとこんなに嬉しいなんて。昼間に一生懸命問題打ち込んで予習しておいたのが無駄になったけど、何のその。
余った時間をしっかり有効活用。TSUTAYA月曜5枚1000円、またしてもチェーンレンタリングしてしまいました。キング・アーサーを見終わって、やっぱりクライブ・オーエンは役所広司に見える。ヨアン・グリフィスはかっこいい。陰のある役っていいね。二刀流も様になっていた。
明日は勢いで借りてきた(笑)コールド・マウンテンでも見ようかな。
外はしっかり雪だし。

アレキサンダー

Alexander長かった・・・・・・2時間53分
見ている間はそれほど時間を感じなかったのに終わった途端、ぐったり疲れました。
確かに迫真の戦闘シーンではありましたが、そこはかとなく古さ、大時代的な大仰さを感じてしまいました。トロイみたいに見え見えのコピペはありませんでしたが、上空から鳥瞰図的に軍隊の動きを追ったり、ずっと以前に見た「ワーテルロー」という映画を彷彿とさせれました。
しかし、大戦闘も冗長。長引くにつれインパクトが徐々に落ちてくるのは否めません。

コリン・ファレル、最初ミスキャストかと思いました(ええ、個人的には好きな俳優さんですが)
しかし紀元前336年即位(世界史でアレキサンダー大王東征 334B.C.<さあさ、しっかりアレキさん>とおぼえましたっけ)という遙か昔。アレキサンダー大王の人となりなど記録に残っていない、唯一、ダリウス3世とガウガメラの戦いで対峙したモザイクしか姿をしのぶよすががないほどはっきり言って正体がわからない人ですよね。
われわれは映画を見ると、まさに歴史上の人物が映画で描かれている人物そのものであったように錯覚してしまうけれど、あれはオリバー・ストーンの解釈によるアレキサンダーということで。

アレキサンダーのみならず古代ギリシア文化の時代は同性愛はむしろ奨励された気味もあります。お互いを肉体的精神的に高めあう神々の行為としてね。ギリシア神話でもアポロンなどその最たる物、トロイア戦役でのアキレスとパトロクロスの仲は有名。
だからあちらこちらで散々言われているほど「アレキサンダーはゲイだった」なんて目新しい解釈でも何でもありませんや。

Jared_letoでもヘファイスティオンやったジャレッド・レトやバゴアスやったフランシスコ・ボッシュなど、震いつきたくなるほどの美青年ぶり。キャスティングの妙というか、オリバー・ストーン、そっちの気があったの?と思わず突っ込みたくなってしまう。

女性陣はロサリオ・ドーソンが一人で気炎を上げていましたが、今回はまったく男性陣の勝利でした。

周囲を部下でかためても、いつ寝返って刃を向けられるかわからない、寝床には毒蛇が入っているかも知れない、ワインを飲めば毒が盛られているかも知れない・・・・・・そういう絶えざる緊張を強いられ続けていると精神的にはおかしくなるのももっともかも知れません。だからこそ幼少時より身近で共に育ってしかも精神的な強い絆で結ばれた腹心が必要になるのかもしれませんね。

ものに憑かれたように東征を続けるアレキサンダーの狂気をコリン・ファレルがうまく演じていました。脆さと尊大さ、幼児性と暴虐性、一人の人間の中のアンバランスな多面性がよくわかりました。懸命に部下を説得しようと熱弁をふるう途中に声がひっくり返るところなんか、期せずしてすごい名演です。 

狂言回しにアンソニー・ホプキンスのプトレマイオス。説明のためのリリーフ・キャラですが、過ぎた昔を回顧するのは歴史物の常套手段です。それによってどんな波瀾万丈の物語にも一種安定感が生まれます。
プトレマイオスの300年後の子孫が例のローマのカエサルやアントニウスと手を組んだ大クレオパトラ7世になるのですが、意外と知られていないんですね。だからクレオパトラはセム系人種じゃなくてギリシア系だったのにね。
プトレマイオスがベランダから港を見下ろすシーンにはちゃんとアレクサンドロス大灯台が(マットで)描かれていましたし、屋内は大図書館、パピルスの巻物が山と積んであったのには歴史好きにはこたえられないサービスでしたね。
バビロンの「空中庭園」もありましたが、いまいちはっきりしない描写でした。

アンジョリ姐は今回はやはりミスキャスト?オリンピアという人物にはまってなかったような気がします。
蛇は悪趣味ですわ。若い頃のアレキサンダーはよかった、コリン・ファレルの面影があって・・・・・って、本当は逆なんですけどw

「トロイ」、「キング・アーサー」、「アレキサンダー」と立て続けに歴史大作を見ましたが、こちらの見方が変わったせいかもしれませんが、ずっと以前に「十戒」「ベン・ハー」「クレオパトラ」など古色蒼然とした歴史物をみたときほど興奮や感激を覚えなくなったのはどうしてでしょうね。

自己責任で行ってらっしゃい

今日の携帯のやりとりです。

「おふくろか、ちょっと明日から一週間携帯通じんで」
「一週間って、どっか行くの?」
「ちょっとロンドン行って来ようかと思うんや」

簡単に言ってくれました。 ろぅんどぅんだってぇ? わたしもまだ行ってないのにw
そういえば去年からそのうちヨーロッパ行って来るわ、と何回か耳に挟んでいましたが、また例の「口だけ」だと思ってました。今まで海外へ行ったことがあるのはパック旅行だったし。
まあ息子もいい年なんだし、大学出るまでに(就職で拘束される前に)どこかへ思うように旅行したいと言うのも頷ける。
でも、つい根ほり葉ほり聞いてしまった。誰と行くの?どこの航空会社?何便?帰りは?
─────だってもしものことがあっても、どの飛行機かも知らないなんて、ねぇ。
宿泊先はちゃんと決めたの? どこへ行くの? お金はあるの? あっちは寒いから手袋と帽子が要るし。

そして気が付きました。向こうから言ってくれる分だけで満足しなきゃ。
子供の独立を望むと言っていながら、足を引っ張ってるのはわたしの方だった。
どこか行くいいところはない?と聞かれて、時間があったらビクトリア・アルバート美術館へ行っておいでとだけようやく言えました。

携帯から流れてくる声は、どこまで本気なのか、ちゃんと計画を立てたのか、それもわからないお気楽状態。でも、きっとそれなりに緊張しているとは思うけど。
自己責任だよ、といいながらも、それでもおかーさんは心配です。
無事に何事もなく帰ってきてね。
そして、願わくば外でしか学べないことを身につけて、一回り逞しくなって帰ってきてねと。

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西の善き魔女

West_witch1 West_witch2長らく気になっていた作品を読みました。あちこちのファンタジー系サイトを覗くと必ずお目にかかるタイトルだったからです。
文庫化でやっと手にとって、これも教養のうち、参考程度に読んでおこうかなという不純な動機ではありました。

結論からいうとかなりはまってしまいました。少女漫画(それも少しレトロな)のノリ。
第1巻から、ばりばりスタンダードの筋立てです。

出奔して身分を隠した王女と学者の父の間に生まれて、出生の秘密を知らずに育った少女が偶然の重なりで出自を知り、しかも危険が迫って父とは生き別れ、慣れ親しんだ家から逃げ出して、幼なじみのエキセントリックな少年と、ひょんなことから庇護してくれることになった有力者侯爵家の掛人となり・・・貴公子は出てくるわ、従妹の女王候補の可憐さと精神の強靱さを備えた少女と意気投合するわ、暗殺者も出るわ、何でも出るわ、で盛りだくさん。
ルーカスの神話ではありませんが、秘められた出自、苦難の旅、アイデンティティーの発見と定石通りに筋が進む様は小気味よいくらいです。

第2巻で、舞台は外界に閉じられた修道院付属の女学院。良家の子女が集まり一般知識・礼儀作法はもちろん、陰謀術作の渦巻く宮廷での身の処し方、果ては女性という武器を用いての対外政策(いかに外国の要職にある男性を籠絡するか)まで、教えてくれる、おとろしいところ。
生徒内部にも後ろ盾となる出身家別に陰湿な派閥ができて、新入生を恐ろしい洗礼が見舞う・・・・・・
これ、まさに少女まんが、さらに学園祭の舞台は宝塚。
ここまでくると、本当におもしろい! 作者も確信犯的に書いているものだから、面白いように予測通りの展開や典型的な人物が出てきたり、とにかく楽しめました。
文庫版で出ているのはまだ1・2巻のみ。
さっそく続きを読むために図書館へGO! 3~5巻まとめて借りてチェーン・リーディングで読み切りました。
王国の南には龍が出没、許嫁の侯爵家の息子は龍退治の騎士になって遠征。少女は身を少年に窶して後を追います。一角獣に乗って龍と戦う騎士はさながらセント・ジョージです。龍と出会い、世界の果てを見て、次期女王選定の渦に巻き込まれて王国に帰る少女たち。
待ちかまえていたのは不思議な道化師と賢者、そして伝説的な現女王のお出まし・・・・・・かいつまんでイベントを上げただけでも、そのめまぐるしさ、多彩さにためいきが出てきます。
*最後のSF落ちは、ま、仕方がないでしょう。結局ファンタジー世界を構築すると合理的に説明するとSF落ちになってしまうんですね*
旧新書版は挿絵がまた、少女まんがそのもので、ちょっと外で読むのは気が引けましたw
舞台となったファンタジー世界に複数存在する国家間の複雑な国際的または経済的な力関係とか、王国内の後継者選びにまつわる権力争いなど、表面的でもっと掘り下げればずっと複雑な様相を呈したかもしれないお話ですが、そのへんはさらりと軽く流していくあたりは物足りなさを感じますが。

最初から主人公のフィリエル、誰かに似ている、話し方、考え方・・・・・・う~~ん。そのうちはっと思い当たりました。「ガラスの仮面」の北島マヤちゃんのイメージでした!

このレビューは決して「西の善き魔女」をけなしているのではありません。念のため。
それどころか一気読みさせられるほど面白かったのです。西洋風ファンタジーの衣を纏っていますが、これは純正日本製のファンタジー、その上は「リボンの騎士」にまでルーツをたどれるような気がします。

エントリ表示数

デフォルトでは新しいエントリは1週間しか表示されません。
ちょっと更新が遅れると寂しいブログになってしまうので、1週間ではなく過去7件のエントリが表示されるように変更しました。
GamixxさんのGamixxity Blogを参考にさせて頂きました。
index.htmlの <MTEntries> を <MTEntries lastn="7"> に変更しました。

その他、日付を枠線で囲みました。色はいまいちですが。すこしずつちまちまいじっていますが自己満足の域を出ていません(笑

しっかりミーハー

ファントム・オブ・ザ・オペラの影響で週末はジェラルド・バトラーのミーハーをしました。
「ドラキュリア」
「トゥーム・レイダー2」
「タイムライン」
おっといけない、「サラマンダー」忘れてた(汗
後の二作はついこの間見たのですが、なんて印象が違うこと
前の印象:
トゥームレイダー2 がたいはいいけどにやけた男、なんか印象薄い
タイムライン  顔つきがもやっとしているな、野性派で学者という感じじゃないよ、ミスキャストかいな
今回の印象:
トゥーム きゃー、いい男。面もどこか愛嬌があるし時々浮かべる笑いがいい、もちろん適度に筋肉質、アンジョリとお似合いだわ 
タイムライン  中世に生きるには現代的なへなちょこじゃだめだめ その優しげな表情がいいよ

ドラキュリア(ドラキュラ2000+ドラキュラ2001 米・英でタイトルが違う)は、映画自体がB級、だけど、よく見ればクリストファー・プラマーが老いたヴァン・ヘルシングをやっています。ファーストネームは"アブラハム" あ、ついでに今週はやりヒュー・ジャックマンのヴァン・ヘルシングを見ましたが、あちらではファーストネームが"ガブリエル"どっちも旧約ではビッグ・ネームなのですが・・・・・・

バトラーは上背があるから長い黒いマントを翻して歩くと雰囲気出てます。血走った赤い目も許せる。
これを見ていると後のファントムのぞぞっとするかっこよさの片鱗がもう窺えるんだ。
この映画ではドラキュラの正体がある超有名人だというネタがあります。なかなかよく考えてあります。
もう一つおまけに、ファントムで劇場支配人フィルマンをやっていた、シアラン・ハインズ。
この人も、お気に入りの一人。
硬軟取り混ぜた役のできる人で、トータル・フィアーズでロシア大統領を、トゥームレイダー2では悪の科学者を、カレンダーガールズでは奥さんにヌードになられながら一生懸命フォローする実直な農場主のおじさんになっています。
最初に映画を見たときに気づかなかった人にも、場数を踏んでいくと何となくピンとくる回数が増えていきます。やっぱり映画やめられない~

オペラ座の怪人

オペラ座の怪人 評価が分かれる映画だと思いました。ミュージカルが(オペラもかな? 一緒にまとめるのには躊躇するけれど)好きな人にはたまらない映画だと思います。でも一般的な「映画」の枠で考えるとき、高い評価は出ないかも知れません。
で、わたしは前者なもので、この映画に驚喜しました。

制作・脚本にミュージカルの作曲家、アンドリュー・ロイド・ウエバーが采配をふるったことからもわかるように、これは舞台ミュージカルの映画化ではなくてミュージカルを映画の中でやったのです。
どっちも同じに聞こえる? 言葉がたりなくて申し訳ないんだけど、ミュージカルを映画の土壌に移し替えてその中に歌を入れ込んだんじゃなくて、映画の中で舞台ミュージカルをそのままやっちゃおうという試みなんですね。
だからあくまで舞台の延長線上で鑑賞することが望ましい見方なんでしょうね。
確かに例のスワロフスキー制作130万ドルという大シャンデリアの復活シーン+墜落シーンなどのようにCGという技術なしには絶対に描写不可能な目を見張るシークエンスはありましたが、それは舞台装置の延長、オペラ、アイーダの舞台装置をできうる限り華麗に壮大に建設するのと同じ姿勢だと思います。
映画好きの方が、画面は美しくCGも効果的だが、歌が長いとかストーリーが平板だとか、特に冗長さを批判していらっしゃいますが、そもそもミュージカルは歌によってストーリーが展開し、登場人物が心情を吐露し、時には歌は狂言回しの役割まで担うのですから、ここはじっくり歌の言葉、歌のメロディーにどっぷり浸って、ゆっくり過ぎていく時間を楽しむのが、この映画の本来の見方じゃないかと思ったりします。
この映画には姿こそみえないものの、舞台下に観客が大勢いるような雰囲気を残しています。私たちにもその観客の仲間入りをして、舞台で進行しているお話を(進捗も結果もよく知っているのだけれども)一喜一憂、涙しながら見ている、そのような気がします。

さて、サラ・ブライトマン、マイケル・クロフォードのオリジナルキャスト・ロンドン版に慣れ親しんだ耳にはエミー・ロッサムもまだまだ物足りない、ジェラルド・バトラー、え、あんた、うた歌うの?と言いたい気分もあるものの、映像と一体化して歌唱力だけでは判断できない魅力もあります。サントラ版CDを聞いていると場面がありありと目前に浮かんできます。

エミー・ロッサムわずか18才にしてあの清純な色気・・・・・・って、すごいですね。ポイント・オブ・ノー・リターンの歌の時のファントムとの絡み、最後にファントムがオール・アイ・アスク・オブ・ユーの一節を歌うときにクリスティーンは悦楽の微笑みすら浮かべていましたね。これは官能美の極地ですよ。バトラーも白いぴったり密着マスク(どうやってくっつけてるんでしょうね?)となでつけたぬれたようなオールバックの黒髪、ともみあげ、いかがわしくて最高に素敵な出で立ち。とても地下の水たまりで暮らしているようには見えません。マントを翻す姿も決まっているし、たまに真っ赤な衣装に身を包んで現れるサービス精神もあります。
ラウル役のパトリック・ウィルソン、彼の声は甘く伸びがあってまさに適役でした。1919年の現代(映画中でね)の老けたメイクも立派でした。唯一歌が吹き替えだったミニー・ドライバーもコケティッシュな役をうまくこなしていました。でもエンドクレジットの後ろで彼女の歌声が聞こえますが。

1919年をモノクロで、1870年代のパリ・オペラ座華やかなりし昔をカラーで対比させ、過去こそが唯一ファントムやクリスティーンが息づく現実で、1919年の方がむしろ幻影なのではないかと感じさせる趣向。最後に一輪、墓に置かれた黒いリボンを結んだ深紅の薔薇、それにはクリスティーンがファントムに残した指輪が添えられていました。そこだけ過去を呼び戻すかのようにモノクロの画面に赤く浮いて。
原作ではファントムは死んでしまいますが、ここではファントムは生き抜いてクリスティーンへの思いを胸に抱き続けていると暗示しています。(ま、見え見え演出ですが)

2時間20分、長丁場ですが、昨今展開ばかりがめまぐるしく動きうっかりすると置いていかれそうな映画が多い中で、19世紀末の耽美的でゴシックな世界にゆったりと耽溺してみるのも一興だと思います。

余談ですが、ここに紹介した画像、ファントムの一番ポピュラーな画像ですが、「裏焼き」です。
ファントムの仮面は顔の右半分を隠していたでしょう?
これだと左になっちゃう(笑 
デザイン上画面左にタイトルを入れるので、裏焼きになったのかな・・・・・・

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魔術師(イリュージョニスト)

Vanishiedmanもしも、ほとんどどんな人間にでも一瞬で変身できるような魔術師が連続殺人の犯人だったら。
もしも、現場に残される微細な慰留物まで、捜査を誤った方向へ導く(誤導)ために仕組まれた物だったら。
さまタマさんもお気に入りになったジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライム=シリーズ第5作目にして最新刊、「魔術師(イリュージョニスト)」でライムとサックスたちが相手にするのはこういう犯人です。
魔術師はコインを消す、帽子から鳩を出す、カードのトリックを見せる・・・・・・こういう普通の小手先を使って人の目を欺くだけでなく、人の心理をも操ります。見せたくない物から注意を逸らすテクニック、思いこみを誘発して目撃者の目を欺く・・・・・・

ディーヴァーの小説の一つのスタイルでもありますが、冒頭から犯人のイリュージョニスト=マレリックと名のる男の読者への挑戦状とも受け取れるような「口上」が述べられます。
これはマレリックが社会に突きつけた大胆不敵なマジックの口上であると同時にディーヴァーが読者に掲げた挑戦状でもあるのです。

さまざまなマジックの大出し物を「見立て」にした残虐な殺人事件、警官の目の前で閃光と共に消え失せた容疑者、ほんの数瞬でまんまと別人になりすまして悠々と人前を歩いて行った容疑者。被害者たちからはなんの関連も見いだせないままに、次の殺人が予想される刻限が近づく・・・・・・

「エンプティー・チェア」「石の猿」と先行2作がわりに小振りだったので、一時はライムシリーズもマンネリか、それともこれで終わるのかと気を揉まされましたが、ディーヴァーの言葉を借りれば、「石の猿」執筆中にどうしてもライムの物語で書きたい物ができた、というのが、この魔術師の物語だったのです。

まさに同時代の小説、9・11のテロ事件にも言及があり、そちらの社会性を持つ方向に進むのか、と思いきや、一転して華麗なサーカスを彩る魔術師の大イリュージョンをステージで完結させないで恐ろしくも現実世界に広げてきました。
なにせ、彼はイリュージョン、早変わり変身、腹話術、ピッキングと人目を欺くエキスパート中のエキスパート。本来なら個人の特定が容易になる明らかにわかる手の傷跡まで捜査の攪乱に使われてしまいます。
さしものライムも、現場検証から得られる証拠が信用できないかもしれない、という手詰まりを感じて今回は新しいキャラ、カーラが登場します。
カーラはちょうどサックスの小型版といったかんじ。一つこと(マジック)にとことん入れ込んで厳格な師のもとで修行している、その努力のやり方がアメリアっぽいのです。
師匠に内緒でマジックの手法、道具、そして心理操作=誤導についてライムたちに的確な情報を与えてくれます。
サブストーリーに、巡査部長への昇進テストを受けるアメリア(このシークエンスは緊迫感があってとてもすてき)、老人介護施設にいる痴呆症の母を足繁く通うカーラの心情などが絡み、さらに介護士のトム、刑事のセリットーやベルなどいつもの面々がおなじみのキャラクターで登場します。彼らの書き込みもまたディーヴァーの小説を楽しむ上で欠かせない遊びになっています。

一度は誤導をかわして、証拠による推理から殺人を未遂にくい止めるものの、裏をかかれてライム自身が危機に陥ったりもします。そして、マレリックの殺人の目的は純然たる遺恨からの憎悪だと思われていたのが、政治的な裏のある殺し屋として動いていたことが発覚・・・・・・しかし、これもまた誤導。
かくしてライムまでか読者も何が真実で何が虚偽か、物語がどのように動くのかまったく余談を許さなくなります。
最後の大出し物「燃える鏡」の被害者は誰か。テロに見せかけた*サーカスの観衆の*大量殺戮は防げるのか? カーラは、アメリアは、ライムは、間に合うのか?

最後まで息もつかせぬどんでん返し、そして最終の局面に近づいて、初めて読者はこの物語すべてが読者を誤導させるべく作られていたことに気が付くのです。
*原題 Vanished Man 消された男、これがつまりイリュージョニストだったのです。犯人だと思われていた男はもう消えていた。代わりにマレリックがその男に成り代わりイリュージョン殺人を犯し最後にその存在を消す、消え失せることになっていたのです*つまり犯人の正体は最初からこれ以上明確なことはないほどはっきりと目前に提示されていたのです。

他のお楽しみには、昇進試験に横やりを入れる議員と敢然と戦うアメリアや、「悪魔の涙」で友情出演したライムに今度はお返しとばかりに懐かしい声を聞かせてくれるキンケードなど内輪ネタ的ではありますがにんまり楽しませてもらいました。

最後にやはり一番印象に残るのは、黄色のカマロを時速140kmでぶっ飛ばす颯爽としたアメリアの姿です。*今回はカマロ、大破しちゃいますが*

節分の雪はこわい

Snow1Snow2今期一番のすごい雪です。
朝、暗いうちか車の雪を払って、と言うより車を雪から掘り出しました。
昼過ぎになっても地吹雪がおさまりません。
少しの晴れ間をめがけて写真を撮ってみましたが、あまりすごく見えませんね。
どうして?
木々に積もった雪が突風に吹き飛ばされて地面を団子状になって転がっていきます。
こんな日はお家でひっきーしてます。