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クリスマスの思い出

Capote前項のポーラー・イクスプレスのエントリーにも書きましたが、クリスマス・シーズンになると読み返したくなる本いくつかあります。
でもクリスマスと言えば定番のC・ディケンズのクリスマスキャロルはちょいと古くさいし教訓調で好みではありません。
そこでお薦めは、トルーマン・カポーティの短編、「クリスマスの思い出」です。
孤児となった「ぼく」が親戚をたらい回しにされて行き着いて先が60才を越えた老嬢の従姉のところ。「ぼくの一番の友だち」と呼ばれる老嬢と7才の僕、それに犬の二人と一匹だけのひっそりとした暮らしが綴られます。身なりに頓着せず子供の様な純真さを止めた老嬢とぼくは一年中節約に節約をして小銭を貯めます。例外は土曜日に映画を見に行く小銭をもらうことだけ。老嬢は決して一緒に行こうとせず、ぼくに見てきた筋を話して貰うほうを好みます。そして倹約して貯めたお金でクリスマスシーズンになると材料を買い込んでたくさんのフルーツケーキを焼きます。人生の小道を横切った縁ある人々、そして必ず一つを大統領におくるナイーブな心の持ち主です。
二人で森へ出かけ見事な樅の木を切り出します。やっとの思いで引きずって帰ったツリーを飾るのは手製のオーナメントです。お金がないから日本製の飾りが買えない……というくだりもあります。お互いに何か素敵なものをあげたいと思いながら(お金が無く)プレゼントに手作りの凧を交換することになります。この質素でささやかな素朴なクリスマスの楽しみも長くは続きません。二人は別れてその後二度と会うことはないのです。最後のクリスマスの様子が清冽で端正な文章で綴られていきます。読む者の心まで洗われるようです。

Christmas_yamagishi2ここにあげたのは、このカポーティの小説を元に山岸涼子が漫画化した「クリスマス」。この画像はその短編が載っているコミックの表紙です。
実際この表紙が「クリスマス」の扉だったのですが、タイトルだけ短編集用に変えられて使われています。読んだのは原作よりこちらが先。それまで少女漫画といえば特定のものしかよんでなかったのに、偶然店頭で立ち読みして、引き込まれてしまったのがこの短編。その場で買いました、もちろん。
なんとしみじみとした物語だろうと思っていましたが最後のコマに"A Christmas Memory Truman Capote"と小さく入っていることで、やっと原作はあの"ティファニーで昼食を"で有名なカポーティだと知りました。
お涼さまの作品も原作に負けず劣らず素晴らしい(ある意味最高傑作ではないかと思えるほど)心に残る作品です。老嬢、ミス・スックの童女のような無垢さ、人の心の交流、生あるものへの慈しみが余すところなく書かれていて、それだけに最後の空に二つ弧凧がのぼっている澄み切った喪失感は忘れることができません。

原作、漫画ともに素直に感動を語れる二つのクリスマス物語です。
こちらのサイトで少しお試しに読むことができます。

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